Seaside Rendezvous - Queen 和訳
1975年「オペラ座の夜」から、ボードビル調の「シーサイド・ランデヴー」です。
ボードビルとは、18世紀の終わり、フランスで誕生したコメディータッチの音楽やダンスのこと。
歌詞にもフランス語が散見されますね。
フレディとロジャーがある日、ふざけ半分に指先でタップダンスを、口を使って管弦楽の音を作って、この曲を作りました。
木管楽器がフレディ、金管楽器がロジャー、指先には裁縫用の指ぬきをはめて、ミキシング台の上でカツカツ音を鳴らしています。
遊び半分で作ったというのに、完成度が高すぎて驚きです。
そして、どの和訳を読んでも、この曲がどんな内容かさっぱり分からなかったので、歌詞から推測してみました。
クレメンタイン
「いとしのクレメンタイン」
アメリカ民謡に出てくる、溺死してしまう少女の名前。
ゴールドラッシュで出稼ぎに出てきた父親がいる。
【推測1】
父親=成金
溺死=想いつつも悲しい結末?
ヴァレンタイン
聖人の名前。
士気高揚のため、若者の結婚を禁止した時代に、率先して若者を結婚させ、投獄される。改宗を拒否して2月14日に処刑される。
【推測2】
禁を破って、愛を貫こうと持ちかけている?
ヴァレンティノ
夭折の銀幕スター、ルドルフ・ヴァレンティノか。
「懐かしのラヴァーボーイ」にも出てくる。
【推測3】
君のヒーローになる、僕がここから連れ出す、という意味か?
c'est la vie
「セ・ラ・ヴィ」直訳すると「これが人生だ」
仕方ない、受け容れるしかない、何が起こるか分からない、等の意味があるフランス語。
この単語をキーワードに全体を通して解釈すると
許されない恋をした二人が、海辺で散歩をしながら、旅に出る想像をして楽しんでいる。
最後は覚悟のうえ、本当に駆け落ちする
という展開になりました。
待ち合わせはいつもの海辺で、許されない秘密のランデヴーです。
古い文学作品や童謡には、最後にバッタリ死ぬ、という容赦ない展開が多いので、ここは悲恋であっても、ラブ・コメディと受け止めておきます。
▼シーサイド・ランデヴー。レトロ感がいつになっても新鮮です。
▼実はオフィシャルビデオがある、シーサイド・ランデヴー。
"Seaside Rendezvous" 和訳
Seaside
海辺にて
Whenever you stroll along with me
たわむれに君と歩けば
I'm merely contemplating what you feel inside
決まって気に掛かるのは、君の胸のうち
Meanwhile
答えを出す前に
I ask you to be my Clementine
僕のクレメンタインに成ってくれないか
You say you will if you could but you can't
君の唇が綴るのは
“貴方に出来るなら、きっと素敵でしょうけれど”
I love you madly
狂おしく愛しているのに、恋路はふいに阻まれる
Let my imagination run away with you gladly
手に手を取って、愛の逃避行へ旅立とう
そんな空想を駆け巡らせて
A brand new angle
これから散歩に出た時は
Highly commendable
心で夢想の旅に出よう
Seaside Rendezvous
潮騒を遠くに聞きながら
I feel so romantic.
なんて夢心地
Can we do it again?
もう一度、世界旅行はいかが?
Can we do it again sometime? (ooh I like that)
時には、繰り返し旅に出よう(呆れるほど何度でも)
Fantastic,
そこは素敵な夢の世界
c'est la vie Madames et Monsieurs
紳士淑女の皆様、これもまた人生だ
And at the peak of the season, the Mediterranean
This time of year
この季節の地中海は、今が旬で大賑わい
僕たちもビーチへ繰り出そう
it's so fashionable,
流行気取りで
I feel like dancing in the rain,
雨の中、僕は踊り出したい気分
Can I have a volunteer?
どなたか、ご一緒して下さいませんか?
Just keep right on dancing
そのまま踊り続けるのさ
What a damn jolly good idea -
こいつは、とびっきりの名案だね
It's such a jollification as a matter of fact,
夢も現もまったく楽しい空騒ぎ
so tres charmant, my dear
なんてかわいらしい、僕の恋人
Underneath the moonlight
月の光を浴びて
Together we'll sail across the sea
帆を上げ二人、海を渡ろう
reminiscing every night
そして毎晩、旅の想い出を語り合う
(shine on silvery moonlight)
(銀色に輝く月明かりを)
Meantime
それから
(in the meantime, baby)
(それまでには)
I ask you to be my Valentine
この気持ちを受け取って
僕のヴァレンタインに成ってくれないか
You say you'd have to tell your daddy if you can
君は瞳を伏せて
“貴方に、お父上のお許しをいただけるかしら”
I'll be your Valentino
僕は君のヴァレンティノに成ってみせるよ
We'll ride upon an omnibus and then the casino
二人の恋は、まだ紐解かれない物語
運命と賭けに身を任せ
Get a new facial
姿を変え、ここを出て
Start a sensation
巷の噂になるんだ
Seaside Rendezvous - so adorable,
海辺で待ち合わせ ― 僕の愛しの
Seaside Rendezvous - ooh hoo
寄せる波が足跡を消して
Seaside Rendezvous - give us a kiss
二人で海辺を歩く ― 僕たちに祝福のキスを
以上です。
二人は無事に幸せになれたのでしょうか。
もっとお気楽な歌詞かと思っていたので、衝撃を受けました。
▼和訳字幕付きの動画を作りました(すごく苦労しました)
ヴェラ・エレン、ジーン・ケリー、フレッド・アステア、素敵です。
▼ご参考までに「ボードビル」
コメディ、そして歌とタップダンスは定番ですね。
まるで20世紀半ばくらいの古い映画を見ているような素晴らしい訳です!
返信削除お気楽な感じのメロディですが、かなり深刻な内容だったんですね。
それでも、前向きな明るい雰囲気です。
それがかえってこの後に待ち受けるであろうことを感じさせて
なんだか恐ろしい気がします。
それにしても、こんなマニアックな曲の和訳が見られるとは思いませんでした。
さすがねこあるきさんです。
はなおのぺらさん、ご無沙汰を失礼いたしております。お久しぶりです。
削除早速、コメントを残していただいて感謝しております。
シーサイド・ランデヴーの、このレトロ感が魅力ですよね!フレディの声が優美なこと極まりなく、踊れもしないのにステップを踏みたくなる衝動にかられます。
「オペラ座の夜」といえば、「ボヘミアンラプソディ」やロジャーの車の曲、ベスト・フレンドあたりが注目されていますが、捨て曲が無いんですよね、このアルバムは。一切の無駄が無い!
マニアックとは仰いますが、ねこあるきの中ではどの曲もメジャー級のヒットなんですよ(笑)
しかも、メイキング・オブがあるから、和訳しやすい。すべてのアルバムにメイキングを付けて欲しいくらいです。
いつも私の意訳をお気に召していただいて嬉しく存じます。有難うございます。