2017年2月7日火曜日

The Show Must Go On - Queen 和訳

The Show Must Go On - Queen 和訳


「ショー・マスト・ゴー・オン」は直訳すると「ショウは続けなければならない」ですが、実は慣用句で、一度始めてしまったら、何があっても中止できないときに使う言葉です。

わりと砕けた場面で使うなら、「まだ終わってないよ」と訳せます。

あるいは、この曲の様に「絶対に、後には引けない正念場」とも言いましょうか、「何があっても止めることはできない」と訳すと、「the show must go on ショー・マスト・ゴー・オン」の慣用句から、重大な決意をうかがい知ることができます。

そして、病床の身で死期が迫るフレディは「何があっても止めることはできない」と、このキーの高いショー・マスト・ゴー・オンを完璧に歌いあげます。
フレディの曲に込めた気持ちたるや、壮絶なものが伝わって来ます。


▼オフィシャルの「ショー・マスト・ゴー・オン」PVは、フレディの体調不良により、過去の映像をつなぎ合わせたものになっています。




"The Show Must Go On" 和訳

Empty spaces - what are we living for
虚無の世界。- 人は何のために生きるのか。

Abandoned places - I guess we know the score
抛棄の地。- その実、カラクリを分かっているのだろう。

On and on, does anybody know what we are looking for
ひたすら繰り返される、
誰しもが何かを探し、求め彷徨う。

Another hero, another mindless crime
時の英雄は、ある時では非情な犯罪者として扱われ、

Behind the curtain, in the pantomime
秘密裏に、繰り広げられる無言劇。
人知を超えた黒幕は、暗黙の下、粛々と事を進める。

Hold the line, does anybody want to take it anymore
それでも、歩みを止めてはならない。
続けよう、さらなる探求を。
たとえ得るものが僅かであっても、無ではないのだから。


The show must go on,
幕は開けられたんだ。

The show must go on
どうしてここで辞められよう。

Inside my heart is breaking
胸の内で、失意のどん底にあっても

My make-up may be flaking
飾り立てた仮面が剥がれ、無様な素顔があらわになっても

But my smile still stays on.
僕は舞台の上で、微笑みを続けよう。


Whatever happens, I'll leave it all to chance
何が起ころうと、すべては天の定めに従おう。

Another heartache, another failed romance
時に傷つき、恋敗れ、どんな試練が待ち受けても。

On and on, does anybody know what we are living for?
歴史は繰り返す。
それでも人は何に抗い、なぜ抗い続けるのだろうか。

I guess I'm learning, I must be warmer now
僕もきっと前に進んでいる。
手にしたものが、あるはずだから。
今ここで燃え尽きるわけにはいかないんだ。

I'll soon be turning, round the corner now
そう遠くない未来、僕は峠を迎えるだろう。
だけど、今はまだ折り返し地点なんだ。

Outside the dawn is breaking
窓の外では、暁星が瞬き、輝かしい夜明けが訪れても、

But inside in the dark I'm aching to be free
僕は、明けない暗闇の中、呪縛から逃れようと足掻き続ける。


The show must go on
舞台に立ち続けるんだ。

The show must go on
何が僕を止められよう。

Inside my heart is breaking
心臓が、時を刻むのを止めたとして

My make-up may be flaking
衆前に、あられもない姿を曝そうとも

But my smile still stays on
僕は心からの笑顔を、皆に送ろう。


My soul is painted like the wings of butterflies
僕の魂は、揚羽蝶のように七色に彩られて。

Fairy tales of yesterday will grow but never die
去りし日はやがて伝説となり、決して色褪せることはない。

I can fly - my friends
今こそ、羽ばたいて見せよう。
君がかつて見上げた様に、僕は高く舞い上がる。

The show must go on
さあ、続けよう。

The show must go on
幕引きなど無い。

I'll face it with a grin
顔をほころばせ、最高の笑顔を浮かべ、

I'm never giving in
手出しはさせない、何物にも屈しない。

On with the show.
僕という名の演目は。


I'll top the bill, 
主役は僕だ。

I'll overkill
体裁をかなぐり捨て、

I have to find the will to carry on
演じ続けることで、僕という存在の意味があると
分かりかけてきているんだ。

(On with the show)
show -
続けよう、スポットライトを僕へ集めて。

The show must go on...
この命を懸けて、やり遂げよう。



Thank you for your request, Mr.T.
以上です。


壮絶すぎて、これを泣かずにいられようか。
技術とか、歌唱力とかではなく、この曲はフレディにしか歌えないと思います。

作曲者のブライアン・メイがフレディにこの曲を持ってきたとき、キーが高いし歌えないんじゃない?と身体を気遣ったメイに対してフレディが返した言葉について。

日本語のウィキペディアには、フレディはメイに「ダーリン、僕はこの曲にすべてを捧げるよ」と話した、とありました。(引用はおそらくCircus Magazine)

Rolling Stone誌による、実際に話したことはこちら↓

"I'll fucking do it, darling' — vodka down — and went in and killed it, completely lacerated that vocal."
「ちくしょうめ、やってやるよ。ぶっ倒れても、声が完全に出なくなってもさ」

とのことです。
そして本当にやり切ってくれました。もう、言葉もないです。


▼1991年、晩年のフレディの映像を編集して、字幕動画を作りました。





おまけ


▼"The Show Must Go On"
「ショー・マスト・ゴー・オン」のフレディ直筆の歌詞。
最期に使用していた歌詞ノートです。



このノートは、オークションにかけられて、70,000ポンド(1ポンドを150円で換算すると、約10,500,000円です)で落札されました。



小休止というか、少し気持ちを落ち着ける自分のために。
ロジャー・テイラーの歌う「ショー・マスト・ゴー・オン」1994年12月です。


▼ロジャーは相変わらず、自由奔放なお方です。出だしのフレーズはマイクにスイッチが入ってなくて、声が聴こえません。色々と、なにやってんだか。





2017年2月1日水曜日

Sliver - Nirvana 和訳

Sliver - Nirvana 和訳

「スリバー」の意味は、「縦に引き裂く」です。
読んで字の如く、カート・コバーンが幸せな幼少期を送っていたある日、それは突然訪れます。

お調子者で陽気な少年カートの、両親は離婚し、それ以来、陰気で粗暴な性格へと、ガラリと変わってしまいます。
父親に預けられ、手におえず、母親に預けられ、一軒家で独りで住んだり。

スリバーの歌詞からは、祖父母の家に預けられた様です。
深い心の傷は闇となり、おそらくはその闇が晴れることはなかったのでしょう。

歌詞では、「Grandma take me home おばあちゃん、僕を家へ連れて帰って」の台詞が、2分たらずの曲の中に、43回出てきます。

何度、繰り返し「帰りたい」と願い続けたか、カートの心境を察するに余りあります。


▼「スリバー」。PVの作成は1993年。曲自体は1990年に作成です。
出てくる赤ちゃんは、カートの娘フランシス。内容は、なんか滅茶苦茶なことになっています。




▼じつは、ねこあるきは1991年のライブ版がお気に入り。




歌詞は、ライブ版では「Wanna be alone 独りになりたい」が、都度出てきますが、PVと収録アルバム「インセスティサイド」では、最後の1回のみ、と少々異なっています。

和訳は、アルバムの歌詞です。


"Sliver" 和訳


Mom and Dad went to a show
ママとパパはお芝居を見に行ったんだってさ。

They dropped me off at grandpa Joe's
だから僕は、ジョーおじいちゃんのところに置いてけぼりなんだ。

I kicked and screamed
手足を投げ出して暴れたよ。
ジタバタしながら、大声で叫んだんだ。

Said, "Please, don't go!"
「置いてかないで!」「行かないで!」って。
いつもと様子がちがくて、すごく怖かったんだ。

Grandma take me home! 
おばあちゃん、僕をおうちへ連れて行って。

Grandma take me home!
おうち帰りたいよ。

Grandma take me home!
パパとママのいる、おうちへ帰るんだ。

Grandma take me home!
ねえ、いつお芝居は終わるの?

Grandma take me home!
お芝居が終わったら迎えに来るんだよね?

Grandma take me home!
そのうち、っていつまで待てばいいの?

Grandma take me home!
おばあちゃん、おうちに帰りたいよ。

Grandma take me home!
お願いだから、おうちへ連れてって。


Had to eat my dinner there
夜になって、ジョーおじいちゃんのおうちで
そのまま晩ご飯を食べることになったんだ。

Mashed potatos and stuff like that
メニューはよく覚えてない。
マッシュポテトとかそんな様なものじゃない?

I couldn't chew my meat too good
上の空だったから、お肉なんかよく噛めなかった。
ご飯なんてどうでもいいよ、食べたくもなかったし。

Grandma take me home! 
それより、おうちへ帰してよ。

Grandma take me home!
おばあちゃん、僕はいつまでここにいるの?

Grandma take me home!
きっとパパもママも僕を待ってるよ。

Grandma take me home!
早く帰りたいよ。

Grandma take me home!
おばあちゃん!僕をおうちに帰して!

Grandma take me home!
僕は帰りたいんだ!

Grandma take me home!
お芝居なんてもう終わったでしょう?

Grandma take me home!
僕はおうちへ帰りたい!


Said, "Why don't you stop your crying
そうしたら、おばあちゃんが言うんだ。
「さあさ、いつまで泣いているのかね。
そろそろ泣き止んだらどうだい」

Go outside and ride your bike"
「お外へ出て、お前の好きな自転車に乗りに行こう」
いつもジョーおじいちゃんの家に来ると、僕が遊んでいたやつだ。

That's what I did
今まではすごく楽しくて、帰るのがイヤだったこともあったのに。
だから、気は乗らないけど、とりあえず言うとおりにした。

I killed my toe!
ただ、つま先を痛めただけだった。
気分なんか晴れない。自転車なんかいらない。

Grandma take me home! 
どうしてあいまいに笑うの?おばあちゃん、聞いてる?

Grandma take me home!
僕はおうちに帰りたいって言ってるんだ。

Grandma take me home!
パパとママは、どこへ行ったの?

Grandma take me home!
すぐに僕を迎えにくるんだよね?

Grandma take me home!
そうしたら、おうちに帰れるよね?

Grandma take me home!
今日はおうちに帰れるよね?

Grandma take me home!
おばあちゃん、約束しただろ?!

Grandma take me home!
僕をおうちへ連れて行って!


After dinner, I had ice cream
味もよくわからない、いつの間にか晩ご飯が片づけられて
僕の好きなアイスクリームをもらったんだ。

A bit of asleep, and watched TV
テレビをぼんやり眺めていたら、なんだか少し眠くなってきた。

I woke up in my mother's arms
きっと目が覚めたら、ママが抱っこしてくれているんだ。
おじいちゃんの家で、遊びすぎたときはいつもそう。
「仕方ない子ね」っていいながら、
僕はママの腕の中で揺られて、おうちへ着いているんだろうな。


Grandma take me home! 
パパとママに会いたい。

Grandma take me home!
おばあちゃん、いじわるしないでおうちへ帰して。

Grandma take me home!
僕のおうちはここじゃないよ。

Grandma take me home!
お願いだから、僕をおうちへ連れて行って。

Grandma take me home!
いい子にするから、もう泣かないから。

Grandma take me home!
だから、おうちへ帰して。

Grandma take me home!
言いつけを守る。悪さもしない。

Grandma take me home!
おうちへ帰りたいんだ。

Grandma take me home!
パパとママに会いたいんだよ。

Grandma take me home!
おばあちゃん、どうして僕は帰れないの?

Grandma take me home!
パパもママも心配して待ってるはずだよ。

Grandma take me home!
もういやだよ。こんなところにいたくない。

Grandma take me home!
早く僕のおうちに帰りたい。

Grandma take me home!
おばあちゃん、僕をおうちへ帰して。

Grandma take me home!
僕を帰してっていったら、帰してよ!

Grandma take me home!
帰してくれるって言ったじゃない!

Grandma take me home!
お芝居が終わったら、僕は帰れるって!

Grandma take me home!
おばあちゃん!おばあちゃんったら!!

Grandma take me home!
おばあちゃん。
僕は。


Wanna be alone.
誰も話しかけないで。
僕はもう、独りになりたい。




以上です。


何を言うことがあろうか。

以前、ねこあるきはこの曲のタイトルを「Silver シルバー」と、ずっと誤読していましたが、英語ネイティブの人も結構な比率で誤読していて、心のどこかでなぜか、少し安心しました。






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