2017年4月25日火曜日

It's Late - Queen 和訳

It's Late - Queen 和訳


ブライアン・メイ作「イッツ・レイト」はアルバム「News Of The World 世界に捧ぐ」の10曲目。6分22秒と長いですが、3部構成です。

ショートバージョンの3分49秒もあります。
ショートバージョンは、CDシングル用に編集されたもので、ギターの部分がばっさりカットされています。

1997年(フレディ没後)に作られたビデオ・クリップもあって、こちらは約4分。

聞き比べてみても、やはりCDのロングバージョンが良いですね。

有り難いことに、メイ氏による「イッツ・レイト」について解説があります。

下記、メイ氏の解説とねこあるきの意訳です。


"Brian May - 1989, In The Studio radio programme"より

"It's another one of those story-of-your life songs. 
「これは、人生において起こる出来事のひとつを表現した曲さ。

I think it's about all sorts of experiences that I had, 
そうだな、僕はあらゆる経験をしてきたけれども

and experiences that I thought other people had, 
他の誰だってそれは同じだと思うんだ。

but I guess it was very personal, 
多分、すごく個人的なこともね。

and it's written in three parts, 
それで、3つのパートに分けて、その事を書いたんだ。

it's like the first part of the story is at home, 
最初のパートは、自宅で起こった物語のようだ。

the guy is with his woman. 
ある男が、彼の女と一緒に自宅にいる。

The second part is in a room somewhere, 
2番目のパートは、どこかの部屋での事かな。

the guy is with some other woman, 
さっきの男は、別の女と一緒にいる。

that he loves, 
男は恋に落ちている。

and can't help loving, 
だから、想いを止められないんだ。

and the last part is he's back with his woman."
最後のパートは、男は最初の女の元へ戻って来る。
まあ、こんなお話し。」


すべての曲に詳しい解説を付けてもらうと、和訳する側としては有り難いのですが。
とにかく、メイ氏の意向通りに和訳と、分かりやすい様に、意訳を足しました。


▼オフィシャルのイッツ・レイト。




"It's Late" 和訳

「ありふれた恋の終わり」


Scene 1
シーン1:とある男性が女性と自宅にて


You say you love me
ベッドの中で「愛しているわ」と君が僕に言ったとき、
僕は何のことか分からず、一瞬だけ君を見つめた

And I hardly know your name
なぜって、僕は君の名前すら覚束ないから

And if I say I love in the candle light
そんな僕がもし「僕も愛している」なんて
キャンドルを灯すロマンティックなムードで言ったとしたら

There's no one but myself to blame
誰がそうしなくても、僕自身が自分を許せないだろう

But there's something inside
なのに、心のどこかに、何か引っかかるものがあって

That's turning my mind away
気が変わり、そんな考えを遠ざけた
僕は名前もよく分からない、君を愛していると言ったんだ

Woh oh how I could love you
ああ、その君が、僕の前から去ろうとしている
いかに愛することが出来たなら

If I could let you stay
引き留められただろうか


It's late
もう遅い

 - but I'm bleeding deep inside
だけど僕の心は深く傷ついて、赤い血があふれ出す
彼女を愛していないはずなのに

It's late
遅いんだ

- woo,is it just my sickly pride
僕がプライドにこだわった所為だ
きっと僕は無意識に、優位に立ちたかっただけ

Too late
遅すぎる

- even now the feeling seems to steal away
それでも、今まだ君を振り向かせられると錯覚している
君が僕から離れるはずがないと

So late
何を今更

- though I'm crying I can't help but hear you say
僕はこぼれる涙を隠し切れず、泣き声をあげたけれど
君の気持ちは変わらずに、小さく言った

It's late, It's late, It's late
「遅いよ、何もかも、もう手遅れなの」と
君の声が頭の中をこだまする

But not too late
でも、これで終わりじゃなかった



Scene 2
シーン2:男性は他の女性と部屋にいる

他の女性と愛を育んだ男性だが、
また別れを切り出されてしまう


The way you love me
君が僕へ注いでくれた愛は

Is the sweetest love around
世界のどこを見回したって、これほど甘美なものはなかった

But after all this time
でも、結局のところ、一緒にいた時間は

The more I'm trying
僕はただ、どうやって愛するか自分のことだけに必死になって

The more I seem to let you down
尚更、君をがっかりさせてしまった

Now you tell me you're leaving
今、君の唇が動いて、僕に「さよなら」と言っている

And I just can't believe that it's true
信じられないよ、これは現実に起こっている事?

Oh you know that I can love you
分かっているよね、僕は君を愛することが出来るんだ

Though I know I can't be true
そんなこと出来るはずがないって知ってるよ

Oh you made me love you
ああ、でもその僕に君は愛することを教えてくれた
君が僕を変えたんだよ

Don't tell me that we're through
どうか言わないで「私たちはもうお終い」なんて


It's late 
「遅いよ」

- and it's driving me so mad
僕の中から激しい衝動が付き上げる
思わず立ち上がり、出て行こうとする君の腕を掴む

It's late
「もう遅いの」

- Yes i know but don't try to tell me that it's
そうさ、もう遅いんだ、分かっているよ
だけど「さよなら」だけは言わないでくれ

Too late 
「遅すぎたわ」

- save our love you can't turn out the light
それでも、どうにかならないか
勝手に終わりにするなよ

So late 
「今更どうして」

- I've been wrong but I'll learn to be right
僕が悪かった。だけど何が悪いか良く分かったんだ
やり直すことはできないのか

It's late, It's late, It's late
「どうしてなの、今まで気付いてくれなかったじゃない、もう遅いの」

彼女は僕の手を振り切り、部屋から去って行った
僕は追いかけることも出来ず、ただドアを見つめていた

But not too late
そして僕にはまだ続きがあった


- I've been so long
そんな事を、僕は何度も繰り返して

- You've been so long
君もずっと、そうだった

- We've been so long tryin' to work it out
僕と君は長い間、話し合ったり、喧嘩したり
お互いうまくいくように努めたね

- I ain't got long
僕はもう、待たせたりせず

- You ain't got long
君も遠回りはしない

- We've gotta know what this life's all about
僕たちは、人生において愛とは何なのか
どう築いていくものか、分からなきゃいけない


Tryin' to work it out
上手くいくよう努力したのに

Yeah,hu

Woo,it's too late
それは遅かったかもしれない

too late
確かに遅くても

Not too late
もし、何か得たものがあったなら
手遅れじゃない


Scene 3
シーン3:男性は、初めに別れた女性の元へ戻る

男性の挙動は、次第にぎこちなく
女性は顔を強張らせている


You're staring at me
君はじっと僕を見て

With suspicion in your eye
その眼差しには、猜疑心があふれている

You say what game are you playing?
そして固く結んでいた口を開き
「なんのつもりなの?」と言った

What's this that you're saying?
「何か言いたいなら、はっきり言えばいいでしょ」

I know that I can't reply
用意された言葉など無く、何も言えない僕がいる
気持ちだけが募り、初めからこうなると分かっていた

If I take you tonight
もし今夜、無言のまま君を僕のものにしたのなら

Is it making my life a lie?
今までの積み重ねは無駄になって
僕の人生は不実なものになるだろうか

Oh you make me wonder
ああ、君はなんて僕を惑わせるひとなんだ

Did I live my life right
僕はどうしたらいい?
何が正しいか、誰か教えてくれないか


It's late 
この期に及んで

- but it's time to set me free
だけど、僕はあれこれ捉われず、もう自由になっても良いんだ

It's late
確かに遅いよ

 - Ooo yes i know but there's no way it has to be
ああ、そうさ。百も承知の上で分かったんだ
愛するには、どんなセオリーも無いってことに

Too late
遅すぎたけれど

- so let the fire take our bodies on this night
だからこのまま、君を押し倒して、朝まで二人熱く燃え盛ろう

So late
もう間に合わないけれど

- let the waters take our guilt in the tide
滴る汗と涙とともに、僕たちの過ちを時の波間に流して
夜明けと同時に潮時を迎える

It's late, It's late, It's late,
遅いよ、遅すぎたんだ、なぜ気付かなかったんだ、

It's late,It's late, It's late, It's late,
今頃になって、やっと分かるなんて、もう手遅れなのに、何で今なんだ

oh

It's all too late
これで全てが終わりを告げた



以上です。

メイ氏というと、失恋の曲ばかり作ってるイメージがありますが、これは終わりかけの恋を情動的に表現していますね。

相変わらず、理屈っぽいイメージが拭い切れませんが、イッツ・レイトは甘いラブソング好きのねこあるきの好物です。


第三者的に見ると、別れ際になりふり構わず必死になる姿って、格好つけるより断然良いと思うんですよ。
当事者は修羅場かもしれませんが。

ただ、この修羅場においてメイ氏みたいに男性が女性を「無言で押し倒す」というのは、おすすめ出来ないです。

男の立場で言うと、気持ちが昂ぶるあまり、一種の正当化できる行為なのでしょうが、女性側から見ると、「身体が目的だったのね」と幻滅されるか、下手をすると傷付けてしまいます。

「押し倒す」までは良いとして、その続きは相手の了解を得るか、出方を伺ってからの方が良いのではないかと、老婆心ながら思うわけです。
いや、いくら若さを言い訳にしても。

それと、メイ氏は「よくあること」と言いますが、名前も知らない相手を家に引き込む事は、あまり一般的ではないんじゃないのかと。

相手をよく知りもしないで付き合うことは、あるのかもしれません。


などと、まるで映画を見た感想のように思ってしまいました。
良いですね。3部構成の劇場仕立てなんて、斬新で。
この曲はフレディの声がよく合います。


おまけ

▼イッツ・レイト1997年のビデオ・クリップ。
娼婦とラスベガス(映画のシーンから)、それとライブ映像の組み合わせ。



▼CD用ショート・バージョン。(音源)










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8 件のコメント:

  1. この歌、いろいろ納得できないところがありますが、
    一番は、名前もよく知らない人とつきあっていた
    というところです。
    さすが、百万もの女性を愛したブライアン・メイです。
    この内容をよくあることと言えるのは彼だけだと思います。

    返信削除
    返信
    1. はなおのぺらさん、こんばんは。いつもコメントをありがとうございます。
      「納得できない」と仰るのは、和訳のことでしょうか?
      なにかご質問がありましたら、ご遠慮なくお尋ねください。

      ところで、この体験をしたのは彼だけではないと思いますよ。すぐそばに、ロジャーも、フレディもいますし。類は友を呼ぶ世界もあるのです。

      削除
    2. いえ、和訳についてはすべて納得です。
      というかこれ以上納得できる訳はないくらいです。
      この歌に出てくる男の言動がいろいろ納得できないということです。
      むしろ、訳がすばらしいからこういうことを思うというわけです。

      削除
    3. はなおのぺらさん、律儀にもご返信をありがとうございます。

      さては、ねこあるき同様、この曲の世界に入り込んでしまいましたね。
      私も和訳の最後に余計な一言を書き加えているように、この曲の主人公には突っ込みたいところが諸所あります。
      なぜ「僕たちの過ちを水に流そう」って、「僕たち」じゃなくて「僕だけ」だろうが、とか。
      「猜疑心にあふれている」女性が、どうして別れた男性と夜を共にしなきゃならんのか、「僕たちの体に火をつけて」って、燃え上がってるのはお前だけだろ、とか。
      まあ、実際、メイ氏がお相手だったら、きっとこんな常識は吹っ飛んでしまうでしょうね。ねこあるきなら、二つ返事で駆け付ける自信があります(?)

      削除
    4. It's lateみたいなことは、イケメン+才能にあふれた人
      でしか許されないと思います。
      ブライアン・メイ氏のように天から二物も三物与えられた人の特権でしょう。
      彼らの間では「よくある話」なのでしょうが、
      一般人に当てはめるのはどうかと思います。

      削除
    5. はなおのぺらさん、コメントありがとうございます。
      おはようございます、ねこあるきです。

      つい最近、「ヘッドロング」を和訳(意訳)いたしました。
      メイ氏によると、「他人事だと傍観していると、いつ自分の足元から火が付くか分からない」、そうですよ。
      そんな時が訪れたら、ぜひ1も2もなく、「ヘッドロング」して下さい(笑)

      削除
  2. この訳のおかげでIt's lateがお気に入りのクイーンソングになりました。フレディにしか歌いこなせない曲のひとつであると思います。ありがとうございました。

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  3. 素敵な記事をありがとうございます!
    ブライアンの曲は、人間のドロドロしたところをそのまんま歌詞にしてるので、「どう考えても道徳的ではないのに、なんか共感できる」のが面白いですよね。
    きっとブライアン自身も「自分が間違ってるのは分かるのに、どうすればいいか迷ってるうちに、色々こじれて苦しくなる」想いを抱えていたんだなと思います(不倫に限らず、そういう悩み自体はありふれてるので、「よくあること」とブライアンが言ったのはそういう概念的な意味だったんじゃないかと思います。名前も知らない人と寝ることが「よくあること」な世界は、さすがに怖すぎるので笑)。
    長文になってしまってすみません💦

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